「日の入り」と聞くと、太陽が沈んだ瞬間を思い浮かべる方が多いかもしれません。でも実は、太陽が沈んでもすぐに真っ暗になるわけではありませんよね。空が徐々に暗くなっていくその過程には、しっかりとした名前や定義があるんです。今回は、日没から完全に暗くなるまでの時間について、わかりやすくご紹介していきます。
日の入りから暗くなるまでの時間とは
日没とは何か?
「日没」とは、地平線の下に太陽の上端が完全に沈んだ瞬間を指します。このタイミングが「日の入り時刻」として天気予報などに掲載されています。空がオレンジや赤に染まる美しい時間帯は、まさにこの直後に訪れます。
日の入りと薄明の定義
日没後もしばらくは空が明るく感じられるのは、「薄明(はくめい)」という現象があるからです。薄明は、大気中の散乱光によって太陽が沈んでも光が残っている状態を指します。つまり、日没=即・真っ暗ではない、ということですね。
地域による違い
同じ日本でも、地域によって日没後の明るさの変化に違いがあります。これは緯度や周囲の地形、空気の透明度などが影響しています。山間部では日没が早く感じられますし、海沿いでは空が広く見える分、明るさを長く感じることもあります。
日没後の明るさの変化と薄明の段階
薄明の3段階(市民薄明・航海薄明・天文薄明)
薄明には3つの段階があります:
- 市民薄明:日没直後〜太陽高度が-6度まで。まだ屋外で活動できる明るさ。
- 航海薄明:太陽高度が-6度〜-12度。星が見え始め、海の水平線が判別できる時間。
- 天文薄明:太陽高度が-12度〜-18度。天文学的な観測が可能になる暗さ。
夕方の明るさの変化の流れ
日没直後はまだ空に光が残っていますが、時間とともに段階的に暗くなります。最初は街灯が点いても気にならないほどの明るさですが、やがて星が見え始め、最終的には真っ暗になります。
視覚的に確認できる明るさの変化
明るさの変化は目でもはっきり確認できます。市民薄明では新聞も読める程度の明るさですが、航海薄明になると肉眼での読書は難しくなります。天文薄明が終わると、完全な夜となります。
季節・緯度による暗くなる時間の違い
夏と冬の違い
夏は太陽が高く昇るため、日没後も明るい時間が長く続きます。一方、冬は太陽の高度が低く、あっという間に暗くなります。体感的にも「冬の夕方は早く暗くなる」と感じるのはこのためです。
2月の事例
例えば東京都の2月上旬では、日没が17:15頃。市民薄明が終わるのは約30分後の17:45頃です。つまり日没後30分ほどは、まだうっすらと明るさが残っていることになります。
緯度が与える影響
日本は南北に長いため、緯度によって暗くなる時間も異なります。北海道では薄明が短く、沖縄では比較的長く感じられます。緯度が高いほど、太陽が急角度で沈むため、暗くなるのも早いのです。
日没から完全に暗くなる時間の計算方法
日の入りからの計算方法
完全に暗くなるまでは、日没から約1時間が目安とされています。市民薄明が約30分、航海薄明が約20分、天文薄明が約10分。この3段階を合計すると、約60分程度となります。
実際のデータを使った具体例
2025年4月上旬の東京を例にすると、日没は18:15。市民薄明は18:45頃まで、航海薄明は19:10頃まで、天文薄明の終了は19:35頃となります。つまり、完全に暗くなるのは19:35ということになります。
明るさの変化を数値化する
明るさの目安には「ルクス(lx)」という単位が使われます。以下のように段階があります:
- 市民薄明中:約100~10lx
- 航海薄明中:約10~1lx
- 天文薄明中:1lx未満
この数値を知っておくと、屋外照明の設置や活動計画の参考になります。
東京都における具体的な時刻
冬の東京:日没から暗くなるまで
12月下旬の東京では、日没が16:30頃。市民薄明は17:00頃まで、天文薄明が終わるのは17:50頃です。つまり、夕方のラッシュアワーにはもう完全に夜になっていることがわかります。
夏の東京:日没から暗くなるまで
7月中旬では、日没は19:00頃。天文薄明が終わるのは20:05頃。つまり、日没から1時間以上たってもまだ薄明が続き、比較的長い夕暮れが楽しめます。
東京における年間の変化
以下は東京における月ごとの日没と完全な暗さまでの目安時間です:
月 | 日没 | 完全に暗くなる時刻 |
---|---|---|
1月 | 16:45 | 17:45 |
4月 | 18:15 | 19:15 |
7月 | 19:00 | 20:05 |
10月 | 17:15 | 18:15 |
まとめ
日没から完全に暗くなるまでには、段階的な変化があります。「薄明」という現象があることで、日が沈んでもすぐに真っ暗にはなりません。市民薄明・航海薄明・天文薄明という3つの段階を理解しておくと、日常生活だけでなく、旅行やアウトドアでも役立ちます。地域や季節によって暗くなる時間に差があることも、意識してみると面白いですよ。